Book Diary

日頃ただ読み散らかしているような本について、ここで紹介しながら自分的に整理してみようなどと考えていま

す。ただし経済的理由により、文庫本および新書の類が中心で、ハードカバーの最新刊は、まずご紹介できま

せん。また本の内容についても 非常に個人的な偏りがあることをお許しください。

     
12月〜    
     

「イタリア式 少しの
お金でゆったり 
    暮らす生き方」
林茂著
講談社+α文庫
2003年11月20日出版
価格 880円+税
読書日 2003年12月
       

「イタリア式・・・」というタイトルを見て思わず買ってしまったのですが、中身はといえ

ば、前半は著者が企業の駐在員としてイタリアで暮らしたときの駐在記と、後半の

イタリアの食とワインといったものでした。確かにタイトルに沿ったお話もありますが

どう見てもこの本の主題ではありません。内容としては、前半からはイタリア人の気

質や生活の様子がわかったり、後半のワインのお話では著者がソムリエの資格を

持っているだけあり、その知識や料理との相性の話、ウンチクはさすがのものがあ

ります。それだけにこのようなタイトルのつけ方をしなくてもと手元思ってしまうので

すが・・・。しかしこの本が「イタリアの食とワイン」というようなタイトルだったら、私は

買ったかというと、多分買ったとは思うのですが・・・。

 
     

「魔剣天翔」
森博嗣著
講談社文庫
2003年11月15日出版
価格 695円+税
読書日 2003年12月
      

某国立大学工学部助教授のかたわら、ミステリーを書いていらっしゃる森先生のV

シリーズ第5弾です。前のS&Mシリーズ全10巻に引き続き、今回のシリーズも読ん

でいるわけですが、数ヶ月に1冊という早いペースでの文庫化でありがたいのです。

しかし大学の先生のかたわらミステリーを書き、それ以外にも趣味の模型機関車に

関する本(たしか庭にレールを敷いてジオラマを作っていらっしゃるといったような内

容だったと思うのですが・・・。これは立ち読みしただけなので違っていたらゴメンな

さい。)やその他にもご本を出されておりスゴイなあなどと感心してしまうのです。V

シリーズは、普通ではまず読めそうもない名前の4人のメインキャラクタが、いろいろ

な事件に遭遇して・・・という内容ですが、ミステリーと言いながらもナゾ解きが特別

におもしろいというわけではありません。4人の特異なキャラクタ設定とそのやりとり

(会話など)や、毎回変化にとんだ事件の舞台(今回はアクロバット飛行)がおもしろ

く、読まされてしまうようです。ただ今回は、前シリーズのようなあれだけ引っ張って

おいての、わけのわからない終わり方(私だけかもしれませんが・・・)だけは勘弁し

て欲しいと思っています。

 
     

「犬の話」
角川書店編
角川文庫
2002年09月25日出版
価格 438円+税
読書日 2003年12月

昔から飼ってみたいと思っていた犬をやっと飼えることになりました。実際に飼って

みて、毎朝の散歩などそれなりに大変なこともありますが、生き物と暮らすという楽

しさも少しはわかり始めた今日この頃です。この本は犬をテーマにした、いろいろな

作家の方のエッセイを集めたもので、それぞれの方の犬への思いがかかれており、

犬を飼い始めて実感としてわかる気持ちがあり、ウレシかったりシミジミしたりしな

がら読みました。なかでも池内紀氏の長年共に暮らした犬との日々の淡々とした思

いと、犬を亡くした後の「チャンプを失って、私はこの人生、もうそろそろいいかなと考

えている。」という思いには、深く感じるものがありました。

 
     

「スルメを見て   
イカがわかるか!」
養老猛    
茂木健一郎著
角川oneテーマ21
2003年12月10日出版
価格 667円+税
読書日 2003年12月

巷では養老先生の本があふれ返っている昨今、なるべくブームになどには踊らされ

ず、買わないようにしていたのですが、もともと養老先生のお話が好きなので、つい

買ってしまいました。茂木健一郎氏との対談が中心に構成されていますが、養老先

生が今まで書かれたりお話されたことと同じなのですが、その中の自然としての脳

にどう対応していくことができるのか、どう耕せるのかというお話を、対談相手の茂

木氏がクローズアップしてわかり易くして見せたということなのでしょうか?最近数

多く出版されている本は、養老先生のお話がわかり易さと引き換えに薄まってしま

っている気がしていたのですが、裏を返すとそれだけ養老先生のお話の奥が深いと

いうことなのかもしれなかったということでした。

 
     

「2ちゃんねる宣言」
井上トシユキ著
文春文庫+プラス
2003年12月10日出版
価格 590円+税
読書日 2003年12月

自分でH/Pなどをやっていながら、この本を見るまで「2ちゃんねる」というものがある

ということすら知らなかったのには、自分ながら少々情けなくなりました。掲示板とい

うものがあることは知っていましたが、それはあくまで掲示板だと思って覗きに行っ

たことすらなかったということです。その掲示板の「2ちゃんねる」が生まれてどのよう

な経緯をたどって今日に至っているかということが書かれている訳ですが、さすがイ

ンターネットの世界というべきか、ここ2〜3年のことがすでに過去の歴史と化してい

る感がありました。ある意味で一番おもしろかった時期を私は見逃してしまったとい

うことなのかもしれません。今後規制が多くなっていくインターネットの世界で「2ちゃ

んねる」がどうなってしまうのかなどということは、私などにはわかりませんが、本書

での「2ちゃんねる」管理人氏の一見オイオイ的なインタビューを見るにつけ、ただ衰

退していくだけとは思えず、これからもその成り行きはオモシロそうです。私も実際

に「2ちゃんねる」を覗きにいってみましたが、とてもついていけそうもないので、一人

のROMとして今後は見させていただきたいと思っています。

 
     

「動物のお医者さんは、
      毎日が冒険」
デイヴィット・ペリン著
高橋佳奈子訳
ヴィレッジブックス
2003年12月20日出版
価格 820円+税
読書日 2004年01月

子供の頃やりたい仕事の一つだった獣医さんの物語です。大学を出たての若い獣医

さんがカナダの田舎の町で病院を開き奮闘する姿を自ら書いたノンフィクションです。

患者である動物たちの病気や怪我の状況、またそれを治療する際の薬や手順がこ

と細かに描写され(文章のウマイ、ヘタは翻訳ものということもあり良く分かりません

が)、非常にリアリティをもって伝わってきます。また麻酔の注射を一本打つに当って

も、その量や打つタイミングなど動物の様子や状況を見ながら適切に行う姿には、物

言えぬ患者への思いやりが伝わってきます。(年代的にはちょっと古いお話なので、

現在の動物医療との状況は少し違っているのかもしれませんが)本のはじめの言葉

にある「獣医志望者にぜひ読んでもらいたい」という一文も、獣医としての態度や心

構えという意味ではその通りだと思います。最近よく聞く医療事故のニュースなどを

見ると、人間のお医者様を目指す方々にも受験勉強の合間にご一読願いただきたい

ものだな、などと思ってしまうのですが・・・。

 
     

「世紀末の隣人」
重松清著
講談社文庫
2003年12月15日出版
価格 552円+税
読書日 2004年01月

この本は2000年に月刊誌に連載されたものが、2001年にまとめられ、2003年に

文庫化されたものです。内容は「池袋通り魔事件」、「ヒ素カレー事件」、「少女監禁

事件」・・・、など世間を騒がせた刑事事件及び、世相を映した事件や事柄をレポート

したものです。題にある世紀末という言葉はすでに過去のものとなり、事件そのもの

も忘れ去られつつあるなか、世紀末という言葉ほど古い感じがしないのは何故でしょ

うか。それらの事件が当時センセーショナルで目新しい感じがしたのですが、今は、

同様な事件が日常化してしまい目新しくなくなってしまったかわりに、リアリティを持

って身近に感じられるようになってきたからではないでしょうか。これらの事件を引き

起こしたような人々がわれわれの隣人となりうる可能性は、今後ますます高まって

いくのではないでしょうか。現在私の住んでいる地域では、区の方針で小中学生全

員に警報ベルが配られつつあります。

 
     

「イタリア人の働き方」
内田洋子
シルヴィオ・
ピエールサンティ著
光文社新書
2004年01月20日出版
価格 740円+税
読書日 2004年01月

最近イタリアに興味があり、関連のありそうな本はつい買ってしまうのです。この本

は、一見国としては疲弊しているように見える(最近はそんなことはないと思うのです

が)イタリアで、ユニークな商品や経営で成功している会社や個人がいるよというお

話が書かれています。無能な経営者のよるスケールメリットによる利益の追求の結

果、肥大化して機能不全に陥った大企業や、会社設立当時の理念を忘れ目先の利

益ばかりを追って、本来行くべき方向とはかけ離れた方向に進み、立ち往生してしま

った老舗企業など、今の日本の多くの企業を見れば、創業当初の理念を越えてまで

利益の拡大を計らない、自分の持つ技術を追求し深めることで付加価値を上げる、そ

の為に会社は社長個人の目の届く範囲より大きくしないということで、イタリアでは、

小さなユニークな会社が成功しているというということは納得がいきます。しかしそん

なユニークな個人が他の国より多い?イタリアでもみんながみんな成功している訳で

もないというのが現実のように見えましたが・・・。