HANAとの約束  
     
   2017年8月28日午前9時10分HANAが逝ってしまいました。14

歳と15日でした。今は毎日がとても静かです。思えば、朝起きてゲージの扉を

開けてくれから始まり、散歩、朝食、おやつ、夕方の散歩、夕食、寝る前のトイ

レまで、彼女の10分とは違わない正確な腹時計に従って、次々と要求していま

した。ROSAとRIKIは、ほとんど要求することもなく、毎日が本当に静か

になりました。もしかしたら、ここ十数年我家はHANAが仕切っていたという

ことなのかもしれません。

 前日倒れた時は、かなりひどい状態だったのですが、獣医も休みでただ寝かせ

て見守るだけでした。何とか持ちこたえたのは、東京に行っていた家内の帰り

を待っていてくれたということなのかもしれません。一晩寝て落ち着いたように

見えたので、獣医に連れて行こうと電話をし、その折り返しの電話を待っている

間に、軽いけいれんを起こしたので、呼びかけながらさすってやっていると治っ

たように見えたのですが、そのまま逝ってしまいました。驚いて何度もHANA

と呼びかけましたが、二度と目を開けることはなく、あまりのあっけなさにただ

呆然とするばかりでした。もう医者はイイヨということだったのでしょうか。昨

晩倒れた後も最後まで自分で立って行って用を足していたように、自分のことは

自分でという気丈で自立心の強いHANAのことでしたから・・・。

 倒れる直前にデッキから庭を見下ろしていたHANAの姿が、今になって思い

出されます。昨年西側に増設したデッキに、ゆっくり、ゆっくり歩いて行って庭

を見下ろしていたのです。そこには、HANAとの約束で芝生を植えるためにま

だ土を掘り返している最中の庭がありました。今年は、畑と芝生を広げようと4

月からずっと土を掘り、石を取り除く作業を続けていたのですが、畑作りに2ヵ

月半もかかってしまい、何とか芝生もと思い、作業を続けていたのですが、結局

HANAとの約束は守れませんでした。今になって何故芝生作りを先にやらな

かったのかという思いだけが募りますが、いつもの自分の見込みの甘さに情けな

い思いばかりです。HANAも庭を見下ろしながら、「そんなことだろうとは

思っていたけどね。」と苦笑いをしていたのかもしれません。私のことを一番よ

く知っていたHANAのことですから・・・。今私にできることは、作業を続け

ることだけです。HANAのいない今、すでにその意味の大半は失われてしまっ

ており、私の自己満足に過ぎないのかもしれませんが・・・。ごめんよHANA

本当にごめん。

 時折今でも「そろそろおやつの時間だよね。」とHANAが部屋を覗きに来

ているような気がします。もちろん目を上げてもそこにHANAが居るわけもあ

りません。一日がただ静かに過ぎて行くだけです。とても静かに・・・。
 
     
     
 

 2017.08.17(14歳)