茶運紙人形
     
   はじめに  
   このH/Pを始めてもうすぐ丸二年となり、ヒット数も1万を超えました。立ち上げ当初 MPM

(私が勝手に作った名称ですが・・・)を皆さんに知っていただきたいという思いから、なるべく

個人的なお話や思いを出すことは避けてきました。しかし2年近くたって、それは私のMPMに

対する思い入れの強さの裏返しにすぎなかったのではないかと思うようになりました。そこで、

少し肩の力を抜いて、私の個人的な思いや考えをお話してみようかと思い立ちこのコラムを始

めてみることにしました。またそれがかえって、皆さんにMPMを理解していただけることになる

のではないか、とも思っています。しかし まあしょせんオヤジのタワゴトですので、あまり真に

受けてお怒りになったりしないようお願いします。これを見て、「何だH/Pの場つなぎか」と思

われた方、なかなか鋭いですね・・・。しかしそれだけではありません。このコラムのお話が少

しでもおもしろいと思っていただいて、MPMに興味を持っていただければと考えているのも確

かなことなのですから。

 
     
  茶運紙人形をつくるLIVE  
  第1回 設計(2003.12.13〜2004.01.17)(再2004.01.27〜)  
    LIVE第一回目は、まず「設計」からということにしました。自分が茶運紙人形を作ろうと
  思ったとき、茶運び人形のお話はそれなりに幾つかあったのですが、技術的な説明は、
  ほとんど見当たらず理解するのに苦労しました。今回LIVEを始めるにあたり「機巧図彙」
  から紙で作る上の変更したところ、工夫したところを含めた茶運び人形の説明という
  意味でこの項目を設けてみました。これでも十分とはいえないとは思いますが、あとは
  製作の工程を追いながら補足できればと思っています。
  次回からは、実際の製作の工程を追って順次UPしていく予定ですが、とりあえずフレー
  ムの製作からと思っていたのですが、歯車を新規に設計しているのでその確認をしてお
  かなくては・・・。すでに前途多難のようですが、2回目の内容はまずやってみてというこ
  とで、時期は年を越しそうだということは確かなようです。
 
  第2回 ギヤとメインフレームの製作(2004.01.17〜)   

movie
   LIVE第2回目からは、製作に入りました。メインフレームから作るつもりだったのですが、
  ギヤは新規に設計したのでちょっと心配になりそちらを優先すると案の定、歯の部分が
  小さすぎて作りづらく、正確なものができそうもなく、モジュールを大きくせざるを得ません
  でした。始めた途端 設計の見直しで出遅れてしまいました。「設計」の項目もいずれ訂
  正ということになりますが、とりあえずはm=1.5とし、中心径はφ105で各軸の関係を保ち
  大歯車の歯数を70、小歯車の歯数を10としました。もともと最小歯数を増やしかみ合いを
  滑らかにする目的でm=1.25としたわけですが、m=1.5としたため最小歯数は12から10に
  減ってしまいましたが、前回製作したときは9だったのを10に増やしたということでとりあえ
  ず納得するしかないようです。なおギヤのかみ合いについては、動画を見ていただければ
  それなりに納得していただけると思います。動画は、左記の青ボタンをクリックしていただ
  ければMOVIEが始まります。
  次回は、駆動軸と足回りの製作を予定しています。時期については来月になりそうです。
 
  第3回 駆動軸と走行輪の製作(2004.05.23〜)

movie
  LIVE第2回から4ヶ月、当初の計画より3ヶ月以上も遅れてやっと3回目をupできました。見
  ていただいている方には申し訳ありませんでした。これからはこのようなことが無いよう心が
  けます。今回は、駆動軸と走行用の車輪及び操舵用の車輪の製作を行っています。ラチェ
  ットや操舵部など動く部分もあり、やっと少しはメカらしくなってきました。動力ゴムを巻き取
  るときのラチェットの機能などは動画を見ていただければ理解していただけると思います。
  この時のカタカタという紙とは思えない乾いた音が、ネジを巻くという雰囲気をかなり出して
  いると思えるのですが、いかがでしょうか。  動画は、左記の青ボタンをクリックしていただ
  ければMOVIEが始まります。
  次回は、調速部の製作を予定しています。次回は、なるべく早くupしたいと思ってはいます
  が・・・。
  第4回 調速機の製作(2004.06.11〜)

movie
 今回はメカ部のキモとも言える調速部の製作です。その動きすら解らなかった前回に比べれ
 ば雲泥の差ですが、今回も何度か作り直すハメにあいました。部品数もさほど多くもなく、製
 作が難しいというわけでもないのですが、例えばガンギ車のピンのように、その長さと径をな
 るべく同じに作る必要があり、ピンを9本作るだけで指先の痛みがしばらく残るほど指先に力
 が入ってしまいます。一番難しいのはガンギ車と天符のツメのかみ合いを調整しながら、両
 者の距離と平行度を3次元的に正確に組上げなくてはいけないことです。セロテープ等で仮
 止めして調整、位置出しをしていざ接着してみると、かみ合わせは良くても、平行度や寸法
 が出ていず再度接着を剥がしてやり直しというようなことが何度かありましたが、今回も何と
 か作ることができました。冠形脱進式調速機と呼ばれるこの調速機の動きと機能は左のボ
 タンを押すとmovieで見ることができます。実際は、天符に重りをつけ反転する天符の慣性
 力を調整することにより、速度を調整するわけですが、今回はまだ重りはつけていません。
 最終的に全ての負荷がついた状態で、動力となるゴムとあわせて調整しようと考えていま
 す。しかし走行スピードがそれなりに制御されているのは、前回のmovieと見比べてもらえれ
 ば解るのではないかと思います。しかし誰がどのようにしてこのような機構を思いつき作った
 のでしょうか。機械技術はそのような、名もない発明者による膨大な技術と、それらをまた改
 良したり、使いこなしたりしていく無数のノウハウの蓄積の上に成り立っています。紙でこの
 人形の部品を一つ一つ手作りしながら機械技術の奥深さを実感している今日この頃です。
  第5回 カム&リンクと腕部Go-Stopスイッチ)の製作(2004.07.03〜)

movie
 LIVEも第5回を迎え、今回のカム&リンクと腕部の製作でメカ部は、擬装動作を除いてほぼ
 完成したこととなります。掲載を始めて7ヶ月、途中体調不良などにより3ヶ月近い空白の
 期間はありましたが 何とかここまでたどり着きました。今回で人形の製作も2回目とはい
 えやはりそれなりに大変で、今回もリンクをつける段になって以前作った操舵部のフレーム
 が間違っている事がわかり、操舵部を一度切り離して付け直すという大手術になってしまい
 ました。また前回いまいち納得のいっていなかった転回動作のところは、今回カム形状を変
 えることでかなり改善されたのではないかと思っています。実際の動きは、いつものように
 movieで確認してみてください。一つ目のmovieは、基本動作でスタート後直進しUターンし
 て戻ってきます。二つ目のmovieは、実際に使われていたときのように、途中で湯呑を取る
 ことで一旦停止し、再び湯呑を載せるとUターンをして戻ってきます。まだスピードを十分調
 整していないので、湯呑をうまく取るのが結構大変です。
 さて次回からは、ペーパーモデルの製作というよりは、人形づくりといったほうがよく、これま
 でも一般のペーパーモデルというには違和感があったかもしれませんが、ますます逸脱して
 いってしまうことになりそうです。頭や手足は、「張り子のトラ」と同じ張り子という方法で作り
 ますが、昔からある人形の製作方法の一つです。紙でかなり自由な曲面が作り出せるとい
 う意味で大変おもしろい方法だと思います。また着物は和紙で作ることになりますが、それ
 もあわせて紙という材料のおもしろさと奥深さを教えられるような気がします。これら全てを
 ひっくるめてペーパーモデルと考えていただければと思っています。
 

movie
  第6回 原型の製作と型取り(2004.09.05〜)
   LIVEも第6回目にして再び予定より遅れています。今回からはこれまでとはガラリと変わり、
 人形作りといった方がいいかもしれません。私も久しぶりの 作業となり、材料を買って回
 ったり、 道具を屋根裏部屋から引っ張り出してきたりと、随分 基本的なことから始めなく
 てはなりませんでした。粘土をいじるのも久しぶりで、慣れるまで少し時間がかかりました
 が、始めるとおもしろく、次はまた人形作りをやってみようかなどと思っている始末です。今
 回は粘土で原型を作り、石膏で型を取るところまでですが、この後型に張り子紙を重ねて
 張り、張り子を作ります。この辺りの製作方法は、NHKの教育テレビで放送した、与勇輝先
 生の「人形をつくる」という趣味講座で覚えた作り方です。詳しく知りたい方はその時のテキ
 ストが一番いいと思うのですが、すでに10年以上も前のことなので入手は困難かもしれま
 せんが・・・。どうしてもと思われる方は、河口湖湖畔のミューズ館(与勇輝氏の人形の常設
 館です。)に、人形製作のビデオがあったと思います。余計な話が長くなってしまいましたが
 次回は張り子の製作になります。なるべく早くお届けしたいとは思っているのですが・・・。
  第7回 張り子の製作(2004.10.09〜)
   LIVE第7回目は、張り子の製作で、小麦粉の糊つくりから始まります。張り子は一般的には
 厚さが3mm以上になるくらい張り重ねるのですが、今回はなるべく軽くしたいと思い 1〜2
 mmにしたのですが、型から抜いたところ一部陥没しそうになり慌てて補強したりしました。
 やはりそれなりの厚さも必要ということのようです。本来は、このまま続けて下地材の、ジェ
 ッソを塗り、サーフェイサーの塗布とペーパー仕上げを何度か繰り返すのですが、塗って乾か
 してまた塗ってということで、またしばらくかかりそうなので今回はここまでとしてとりあえず
 upすることにしました。頭部の仕上げと足の張り子は、次回とさせていただきます。
第8回 擬装動作部の製作(2004.11.23〜)

movie
 LIVE第8回目は、前回の予告とはちょっと違ってしまいましたが、足部の製作に続いて仕上
 げの前に擬装動作部を組み立てて動きの確認を行いました。今回は首振り動作をカムとリ
 ンクを使って行うように変更したのですが、リンクの回転中心が設計通りではうまくいかず、
 多少の試行錯誤がありました。movieでは、一連の動きの中で、首振りと足の交互動作が
 行われている様子をご覧ください。(余談ですが、これまでは、H/Pの容量を気にしながら、
 movieをどうしようかなどと考えながらやっていましたが、この度YAHOOのH/Pの容量が一
 気に300MBになり、そんなことも気にせずにすむようになりました。)
 次回は、頭部などの仕上げと、着物の製作で最終回となります。この連載を始めてすでに
 一年になろうとしています。半年のつもりで始めたのですが、やはりそう簡単にはいきませ
 んでした。いつものことと言ってしまえばそれまでですが、年を越えるなどということだけは
 無いようにしたいと思っています。
   
   
  茶運紙人形をつくる
     前回はからくり人形を紙で作ってみようと思うに至ったわけを書いてみましたが、今回
   はそれの続きとして、実際に茶運び紙人形を作った経緯を書いてみます。前回同様、
   何回かに分けて書いてみますが、前回の反省をふまえて連載のペースについては、
   任意とさせていただきます。
  第1話.歯車と動力 (2003.10.05〜2003.11.25)
  第2話.冠形脱進式調速機 (2003.10.12〜2003.11.25)
  第3話.操舵輪 (2003.10.24〜2003.11.25)
  第4話.人形として (2003.11.01〜2003.11.25)
  第5話.HANDS GRANPRIXへ (2003.11.22〜2003.12.13)
     予告
   「僕が・・・わけ」、「・・・つくる」と茶運紙人形を作るに至った経緯や、作った過程をまと
   めてみましたが、その作業を通して思ったのは、やはりもう一度キチッとした形で人形
   を作ってみようということでした。現在手元に残っているのは、手書きの当り図と現物
   のみなので、再度作るといってもゼロから始めるに近く、その手間や前回の苦労を思
   うと決断しかねていたのですが、これを機会に始めないと、このままになってしまいそ
   うなので、やっと重い腰を挙げてみることにしました。
   とりあえずこのH/P上に製作の過程を追いながら「茶運紙人形をつくるlive」(仮題)とい
   うことで、掲載していこうと考えています。その掲載方法や期間(一応できるまで)はま
   だ未定ですが、第1回目を師走の頃にはと考えています。
   このように発表でもして自分を追い込んでしまわないと動かないという、モノグサな性格
   なので、その意味もこめてここに予告などをしてみました。興味のある方は、お楽しみに
   
  「僕が紙のからくり人形をつくったわけ」
     私がからくり人形を紙で作ってみようと思うに至ったわけを書いてみようと思っています。
   はじめなのでどんな形式で書けばよいか決めかねているのですが、とりあえず今回は、
   幾つかのお話に分けて、2週間に一話のペースで連載するつもりでいます。
   ファイルはWORDで書いたため、pdf形式に変換してあります。見にくいかもしれません
   が、Acrobat Readerでごらんください。
  第1話.赤い服の人形 (掲載期間2003.1.12〜2003.1.26)
  第2話.空箱のロボット (掲載期間2003.1.26〜2003.2.9)
  第3話.紙飛行機 (掲載期間2003.2.9〜2003.2.23)
  第4話.からくり人形 (掲載期間2003.2.23〜2003.3.9)
  第5話.紙の時計 (掲載期間2003.3.9〜2003.3.23)  
  第6話.HONDA P2 (掲載期間2003.3.23〜2003.4.6)  
    「僕が紙のからくり人形をつくったわけ」と題して連載をしてきましたが、第6話をもって
   最終回となりました。非常に個人的なお話に終始しておもしろくもなかったかもしれま
   せんが、もし読んでくださった方が一人でもいれば幸いです。
   当初はお話だけのつもりだったのが、それに関連した写真をつけてみようなどとこり始
   めてしまい、はじめに2週間に一話のペースで連載などと書いてしまったことを大変後
   悔しました。しかし第2話の「空箱のロボット」のとき復元したロボットは(これが材料集
   めも含めて、一番大変だったのですが・・・)、自分のもの作りの原点を再認識し、今後
   の方向性も少し見えたように思え、大変だった分 得るものもあったような気がしてい
   ます。
   また何かテーマを見つけてやってみようと思っていますが、連載という形式は、今後は
   よく考えてからにしようと思います。
 
     
     


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